転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「悪い、さすがにひとりで帰すのはアレだから、俺も行くわ」
そう言った仁が、寄り添ったままの春人と結乃をふとみとめ、口もとを緩める。
「お幸せに?」
なんだか含みのあるひとことを残し、仁もまたこの場を去った。
玄関のドアが閉まる音が、やけにはっきりと聞こえる。ようやく気が抜けた結乃は、大きく息を吐き出した。
「結乃、大丈夫か?」
訊ねながら、春人が結乃の頬をそっと指の背で撫でる。
ほとんど放心状態で、それでも結乃は小さく首を縦に動かした。
「はい……あの、春人さんは、どうして……」
抽象的なその言葉でも、春人は正しく彼女の疑問を理解したらしい。
身体を支えつつゆっくりと結乃をソファーに座らせてやりながら、彼は答えた。
「一緒に飲んでいたレイラが、手洗いに行くと言ったきりまったく戻ってこなくて。ようやく連絡がついたと思ったら、今俺の家に着いたところだと……慌てて俺たちも、タクシーで追いかけてきたんだ」
ちなみにマンションの前に着くなり、春人はクレジットカードとスペアで持っていたカードキーを仁へと押しつけ、急いで中に入ってきてくれたらしい。うれしいが、タクシーに置き去りにされた仁はかわいそうだ。
そういえばリビングを出る間際、仁がダイニングテーブルに何かを置いていた。改めて目を凝らしてみると、それは春人が預けたらしいクレジットカードとカードキーだ。
後日改めて、仁にもお礼とお詫びをしなければ。頭の隅ではどこか冷静にそう決意しつつも、結乃は今、緊張で張り裂けそうなほど心臓を高鳴らせている。
そう言った仁が、寄り添ったままの春人と結乃をふとみとめ、口もとを緩める。
「お幸せに?」
なんだか含みのあるひとことを残し、仁もまたこの場を去った。
玄関のドアが閉まる音が、やけにはっきりと聞こえる。ようやく気が抜けた結乃は、大きく息を吐き出した。
「結乃、大丈夫か?」
訊ねながら、春人が結乃の頬をそっと指の背で撫でる。
ほとんど放心状態で、それでも結乃は小さく首を縦に動かした。
「はい……あの、春人さんは、どうして……」
抽象的なその言葉でも、春人は正しく彼女の疑問を理解したらしい。
身体を支えつつゆっくりと結乃をソファーに座らせてやりながら、彼は答えた。
「一緒に飲んでいたレイラが、手洗いに行くと言ったきりまったく戻ってこなくて。ようやく連絡がついたと思ったら、今俺の家に着いたところだと……慌てて俺たちも、タクシーで追いかけてきたんだ」
ちなみにマンションの前に着くなり、春人はクレジットカードとスペアで持っていたカードキーを仁へと押しつけ、急いで中に入ってきてくれたらしい。うれしいが、タクシーに置き去りにされた仁はかわいそうだ。
そういえばリビングを出る間際、仁がダイニングテーブルに何かを置いていた。改めて目を凝らしてみると、それは春人が預けたらしいクレジットカードとカードキーだ。
後日改めて、仁にもお礼とお詫びをしなければ。頭の隅ではどこか冷静にそう決意しつつも、結乃は今、緊張で張り裂けそうなほど心臓を高鳴らせている。