転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「愛してる、って……ほんとう?」
見上げた先の春人が目を見開き、ギシリと固まってしまう。
それでも結乃がじっと視線を逸らさずにいると、彼は観念したように顔を背けた。
「……ああ。本当、だ。出まかせを言ったわけじゃない。こんなふうに、伝えるはずじゃなかった」
目を合わせないままらしくなく歯切れの悪い春人の様子を、結乃は信じられない思いで見つめる。
ふと、彼が意を決した様子で息を吐いてから、こちらを向いた。
「いつかはちゃんと、伝えるつもりだった。もっと結乃が、俺に心を許してくれるまではと……結婚自体俺が強引に進めてしまったものだし、そこで本気で惚れ込んでるなんて伝えても、ただきみを懐柔するために甘い言葉を使ってるだけなんじゃと、疑われてしまうのがこわかった」
誠実で、それでいて少しの緊張を含んだ声が、ひとことひとことゆっくりと結乃に降り注ぐ。
気づけば結乃の目からは、ボロボロと涙があふれていた。
「結乃?!」
ギョッとした春人が、繋いでいない手の指先で慌てたように濡れた頬へ触れる。
そのぬくもりにますます涙を決壊させながら、結乃は首を左右に振った。
「こ、こころ、なんて、とっくに許してる……っ私は、春人さんのものだから……!」
「ッ、」
「でも、ちがうの……春人さんのそれは、ちがうの……っ」
彼女の健気な言葉と涙の破壊力に心臓をわし掴まれ息を呑む春人だったが、続けられた不穏なセリフに疑問を持つ。
春人が口を挟もうにも、うつむきがちな結乃はひたすら固く目を閉じていやいやと首を振り続けていた。
見上げた先の春人が目を見開き、ギシリと固まってしまう。
それでも結乃がじっと視線を逸らさずにいると、彼は観念したように顔を背けた。
「……ああ。本当、だ。出まかせを言ったわけじゃない。こんなふうに、伝えるはずじゃなかった」
目を合わせないままらしくなく歯切れの悪い春人の様子を、結乃は信じられない思いで見つめる。
ふと、彼が意を決した様子で息を吐いてから、こちらを向いた。
「いつかはちゃんと、伝えるつもりだった。もっと結乃が、俺に心を許してくれるまではと……結婚自体俺が強引に進めてしまったものだし、そこで本気で惚れ込んでるなんて伝えても、ただきみを懐柔するために甘い言葉を使ってるだけなんじゃと、疑われてしまうのがこわかった」
誠実で、それでいて少しの緊張を含んだ声が、ひとことひとことゆっくりと結乃に降り注ぐ。
気づけば結乃の目からは、ボロボロと涙があふれていた。
「結乃?!」
ギョッとした春人が、繋いでいない手の指先で慌てたように濡れた頬へ触れる。
そのぬくもりにますます涙を決壊させながら、結乃は首を左右に振った。
「こ、こころ、なんて、とっくに許してる……っ私は、春人さんのものだから……!」
「ッ、」
「でも、ちがうの……春人さんのそれは、ちがうの……っ」
彼女の健気な言葉と涙の破壊力に心臓をわし掴まれ息を呑む春人だったが、続けられた不穏なセリフに疑問を持つ。
春人が口を挟もうにも、うつむきがちな結乃はひたすら固く目を閉じていやいやと首を振り続けていた。