転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
どんな言葉がきても受け入れなければと、きつくつむった目じりからじわりと涙を滲ませた結乃の耳に届いたのは──予想外すぎる、ひとことだった。
「すまない。なぜきみが謝るのか、まったくわからないんだが」
「……え」
思わずまぶたを開けて、まじまじと春人の顔を見つめてしまった。
自分を見つめ返す彼の表情は、本気で訳がわからないといったもので。結乃は肩透かしを食らった気分のまま、なんとか口を開く。
「あの、だから……春人さんが私を想ってくれるのは、その……前世の感情に大きく影響を受けているからかも、しれなくて」
「それで、どうして結乃はそんなに深刻そうな顔をしているんだ」
「だっ、だって……! 春人さんが私への好意だと思ってるそれは、もしかしたら前世の“ハルト”が“ユノ”に向けていた感情が、表に出てきているだけかもしれないじゃないですか!」
今にも泣き出しそうで、思わず声を荒らげてしまった。
だというのに言われた方の春人はといえば、なぜだか微笑みすら浮かんだ余裕の表情だ。
「俺は、結乃の話を信じている。信じたうえで言わせてもらうが、前世の俺の未練がましい恋情なんて、そんなものは知ったことじゃない」
「は……」
「俺は俺だ。俺がきみに惹かれたのは、きみという女性がとても魅力的だったからだ。前世のきみもそうだったんだろうが、俺は間違いなく“黒須春人”として“白川結乃”に惚れたのだと、断言できる」
「すまない。なぜきみが謝るのか、まったくわからないんだが」
「……え」
思わずまぶたを開けて、まじまじと春人の顔を見つめてしまった。
自分を見つめ返す彼の表情は、本気で訳がわからないといったもので。結乃は肩透かしを食らった気分のまま、なんとか口を開く。
「あの、だから……春人さんが私を想ってくれるのは、その……前世の感情に大きく影響を受けているからかも、しれなくて」
「それで、どうして結乃はそんなに深刻そうな顔をしているんだ」
「だっ、だって……! 春人さんが私への好意だと思ってるそれは、もしかしたら前世の“ハルト”が“ユノ”に向けていた感情が、表に出てきているだけかもしれないじゃないですか!」
今にも泣き出しそうで、思わず声を荒らげてしまった。
だというのに言われた方の春人はといえば、なぜだか微笑みすら浮かんだ余裕の表情だ。
「俺は、結乃の話を信じている。信じたうえで言わせてもらうが、前世の俺の未練がましい恋情なんて、そんなものは知ったことじゃない」
「は……」
「俺は俺だ。俺がきみに惹かれたのは、きみという女性がとても魅力的だったからだ。前世のきみもそうだったんだろうが、俺は間違いなく“黒須春人”として“白川結乃”に惚れたのだと、断言できる」