転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「ありがとうございます。あ、あとお見合いで話すことといえば、趣味とかですか?」
羞恥心を誤魔化すように、ソーサーに置いたカップを両手の指先でもてあそぶ。
すると春人は、結乃の言葉にあっさりと答えた。
「趣味か。俺の場合は、剣道かな」
「……剣道?」
返ってきた答えが予想外で、結乃が目を丸くする。
「ああ。学生時代からずっと続けていて、通っていた道場には今でも休日に顔を出すこともある」
そう話す春人の目は、どことなく生き生きとしている。本当に剣道が好きなのだと伝わってきた。
(そっか、剣道……剣道かあ)
前世の彼を語るうえで、なくてはならないもの。それが今の彼にとっても大切なままだと知って、ジワジワと胸にうれしさが広がる。
自然と結乃は、破顔していた。
「そっかあ。よかった」
まっすぐ自分に向けられたその笑顔とつぶやきに、一瞬春人がカップを持とうとする動きを止めた。
結局口には運ばず、代わりに唇を動かす。
「……きみは、何かスポーツは?」
「あ、私は全然。学生の頃もずっと帰宅部か、友達に頼まれて何かの同好会に名前だけ貸したりとか……」
言いながらへにゃりと、情けなく笑って頬をかいた。
「私、絶望的に運動神経悪いんですよ。ものすごーく、鈍臭くて」
そのときだ。なぜか春人が目をみはって、結乃は思わず首をかしげる。
だけどそんなのは気のせいだったかのように、春人はどこかイタズラっぽく口もとを緩めた。
羞恥心を誤魔化すように、ソーサーに置いたカップを両手の指先でもてあそぶ。
すると春人は、結乃の言葉にあっさりと答えた。
「趣味か。俺の場合は、剣道かな」
「……剣道?」
返ってきた答えが予想外で、結乃が目を丸くする。
「ああ。学生時代からずっと続けていて、通っていた道場には今でも休日に顔を出すこともある」
そう話す春人の目は、どことなく生き生きとしている。本当に剣道が好きなのだと伝わってきた。
(そっか、剣道……剣道かあ)
前世の彼を語るうえで、なくてはならないもの。それが今の彼にとっても大切なままだと知って、ジワジワと胸にうれしさが広がる。
自然と結乃は、破顔していた。
「そっかあ。よかった」
まっすぐ自分に向けられたその笑顔とつぶやきに、一瞬春人がカップを持とうとする動きを止めた。
結局口には運ばず、代わりに唇を動かす。
「……きみは、何かスポーツは?」
「あ、私は全然。学生の頃もずっと帰宅部か、友達に頼まれて何かの同好会に名前だけ貸したりとか……」
言いながらへにゃりと、情けなく笑って頬をかいた。
「私、絶望的に運動神経悪いんですよ。ものすごーく、鈍臭くて」
そのときだ。なぜか春人が目をみはって、結乃は思わず首をかしげる。
だけどそんなのは気のせいだったかのように、春人はどこかイタズラっぽく口もとを緩めた。