転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
(白川結乃、か……)
先ほどから、自分はなんだかおかしい。
今日初めて会ったはずのこの女性に、どうにも本能が強く惹きつけられる。
(……今、このときだけの関係には、したくない)
これまで、自分が行動を起こすまでもなく女性側から近づいてくるばかりだった春人が、初めて覚えた感情だった。
図らずも同じことを考えていたふたり。けれどもその想いのベクトルには、驚くほど差があった。
「結乃。今日俺がここに来たのは母の思いつきにしぶしぶ付き合っただけで、まさか本気で見合い相手と交流しようなんて気はなかった」
「あ……はい」
淡々とした言葉に、結乃がうなずく。
その顔がどこか寂しそうに見えるのは、春人の自惚れだろうか。
気のせいでもいい。ただ、彼女との繋がりをここで終わらせることだけは、絶対にしたくなかった。
「だが、実際に会って話をしてみて、その考えは撤回することにした。俺はきみを、逃がしたくない」
結乃の少しタレた丸い目が見開かれる。
かわいいな、と。自然に思って、口角が上がった。
「結乃が欲しい。俺と、結婚してくれないか?」
──ただ、叔母と素敵なホテルランチを楽しもうと思っていただけなのに。
まさか見合い話を仕組まれて、その相手が前世の幼なじみで……そのうえいきなり、プロポーズをされることになるなんて。
(なっ、なんで~~??!!)
心の中で叫びながら、結乃は呆然と目の前の美男子を見つめたのだった。
先ほどから、自分はなんだかおかしい。
今日初めて会ったはずのこの女性に、どうにも本能が強く惹きつけられる。
(……今、このときだけの関係には、したくない)
これまで、自分が行動を起こすまでもなく女性側から近づいてくるばかりだった春人が、初めて覚えた感情だった。
図らずも同じことを考えていたふたり。けれどもその想いのベクトルには、驚くほど差があった。
「結乃。今日俺がここに来たのは母の思いつきにしぶしぶ付き合っただけで、まさか本気で見合い相手と交流しようなんて気はなかった」
「あ……はい」
淡々とした言葉に、結乃がうなずく。
その顔がどこか寂しそうに見えるのは、春人の自惚れだろうか。
気のせいでもいい。ただ、彼女との繋がりをここで終わらせることだけは、絶対にしたくなかった。
「だが、実際に会って話をしてみて、その考えは撤回することにした。俺はきみを、逃がしたくない」
結乃の少しタレた丸い目が見開かれる。
かわいいな、と。自然に思って、口角が上がった。
「結乃が欲しい。俺と、結婚してくれないか?」
──ただ、叔母と素敵なホテルランチを楽しもうと思っていただけなのに。
まさか見合い話を仕組まれて、その相手が前世の幼なじみで……そのうえいきなり、プロポーズをされることになるなんて。
(なっ、なんで~~??!!)
心の中で叫びながら、結乃は呆然と目の前の美男子を見つめたのだった。