転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「いい考えがある。会食はおまえが出ればいいんじゃないか?」
「却下」
「なんだよ、どうせハルはデートの予定のひとつもないだろ?」
笑い混じりに軽口を叩く。が、そのあとの不自然な間に違和感を覚えた仁はタブレットから視線を外し、傍らの男を見上げた。
一度目が合った春人が、どこか気まずそうに顔を逸らす。
その態度にピンときて、仁は思わずチェアーから腰を浮かせていた。
「は? マジか? まさかハル、本当にデートなのか?」
「……スケジュールの確認は以上だな。外出してくる」
「いや待て、恋人ができたなんて聞いてない! 相手はどんなコだ?!」
さっさと踵を返しかけた春人の黒いジャケットの腕を掴み、仁が食い下がる。
春人は諦めに似たため息をついて、その流麗な眼差しをユーアソシエイトの若きCEOへと向けた。
「業務終了後は所用がございますので、今夜の会食の予定を交代することはできかねます。何卒ご容赦ください」
「こらハル、急に口調を馬鹿丁寧にしたところで誤魔化されるとでも思ってるのか?」
「……恋人じゃない」
なんだ、じゃあまだ片想いか? それともただの火遊びか?
ようやく白状したひとことで一瞬にして複数の可能性を頭に駆け巡らせた仁は、次の瞬間その思考を完全に停止した。
「婚約者だ。来月末に入籍するから、よろしく」
「は?」
予想外どころか、青天の霹靂にもほどがある爆弾発言である。
間抜けな声を漏らして唖然とする仁の手からするりと腕を振りほどき、春人は正面から仁と顔を合わせた。
「却下」
「なんだよ、どうせハルはデートの予定のひとつもないだろ?」
笑い混じりに軽口を叩く。が、そのあとの不自然な間に違和感を覚えた仁はタブレットから視線を外し、傍らの男を見上げた。
一度目が合った春人が、どこか気まずそうに顔を逸らす。
その態度にピンときて、仁は思わずチェアーから腰を浮かせていた。
「は? マジか? まさかハル、本当にデートなのか?」
「……スケジュールの確認は以上だな。外出してくる」
「いや待て、恋人ができたなんて聞いてない! 相手はどんなコだ?!」
さっさと踵を返しかけた春人の黒いジャケットの腕を掴み、仁が食い下がる。
春人は諦めに似たため息をついて、その流麗な眼差しをユーアソシエイトの若きCEOへと向けた。
「業務終了後は所用がございますので、今夜の会食の予定を交代することはできかねます。何卒ご容赦ください」
「こらハル、急に口調を馬鹿丁寧にしたところで誤魔化されるとでも思ってるのか?」
「……恋人じゃない」
なんだ、じゃあまだ片想いか? それともただの火遊びか?
ようやく白状したひとことで一瞬にして複数の可能性を頭に駆け巡らせた仁は、次の瞬間その思考を完全に停止した。
「婚約者だ。来月末に入籍するから、よろしく」
「は?」
予想外どころか、青天の霹靂にもほどがある爆弾発言である。
間抜けな声を漏らして唖然とする仁の手からするりと腕を振りほどき、春人は正面から仁と顔を合わせた。