転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「近々食事でもしながら報告しようと思っていたのに、予定が狂った。本当に鼻が利くな、おまえは」
「エ……はあ、ありがとう……」
「あまり褒めてるつもりはない。まあ、とりあえずそういうことだ」
普段と変わらない調子で言うだけ言って、春人が社長室を去る。
残された仁は一度立ったチェアーに再びどさりと腰を下ろし、ウェーブがかった柔らかい髪を片手でかき上げた。
(入籍……? 入籍って言ったか? あのハルが……?)
今日は2月の第3金曜日である。春人の言った『来月末』までは、あと1ヶ月少々しかない。
混乱しすぎて、脳がバグを起こしているようだ。思うように情報を整理することができず、仁は本気で困り果てた。
……腐れ縁で何かと危なかっかしく目の離せない友人が、どうやら人生の伴侶を見つけたらしい。
そもそも恋人がいたことすら知らなかったのだが、そこはまあこの際目を瞑ることにした。
突然の情報に思考が追いつかない。が、たしかなのは、この報せがめでたい案件だという事実だ。
「いや、俺『おめでとう』言ってないな……?」
自身の言動を思い返し、無意識につぶやく。
そう、言いたいことも聞きたいこともいろいろあるが、友人としてとにもかくにもとりあえず伝えなければいけないひとことだ。
立ち上がった仁はひとまず混乱を脇に追いやり、社長室のドアを開けて言葉が足りなさすぎる副社長を追いかけたのだった。
「エ……はあ、ありがとう……」
「あまり褒めてるつもりはない。まあ、とりあえずそういうことだ」
普段と変わらない調子で言うだけ言って、春人が社長室を去る。
残された仁は一度立ったチェアーに再びどさりと腰を下ろし、ウェーブがかった柔らかい髪を片手でかき上げた。
(入籍……? 入籍って言ったか? あのハルが……?)
今日は2月の第3金曜日である。春人の言った『来月末』までは、あと1ヶ月少々しかない。
混乱しすぎて、脳がバグを起こしているようだ。思うように情報を整理することができず、仁は本気で困り果てた。
……腐れ縁で何かと危なかっかしく目の離せない友人が、どうやら人生の伴侶を見つけたらしい。
そもそも恋人がいたことすら知らなかったのだが、そこはまあこの際目を瞑ることにした。
突然の情報に思考が追いつかない。が、たしかなのは、この報せがめでたい案件だという事実だ。
「いや、俺『おめでとう』言ってないな……?」
自身の言動を思い返し、無意識につぶやく。
そう、言いたいことも聞きたいこともいろいろあるが、友人としてとにもかくにもとりあえず伝えなければいけないひとことだ。
立ち上がった仁はひとまず混乱を脇に追いやり、社長室のドアを開けて言葉が足りなさすぎる副社長を追いかけたのだった。