転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
初めて会った日から、顔を合わせるのは今回でまだ4度目。それでも春人は会った回数に関係なく、すでに結乃をこの先一生離したくないと考えるほど特別に想っていた。
『結乃が欲しい。俺と、結婚してくれないか?』
互いに不本意なものだった見合いの席で春人の懇願を聞いた結乃は、丸い目をこぼれんばかりに見開いた。
まっすぐに向けられた真摯な瞳で、このセリフが冗談なんかではないのだと嫌でもわかる。
驚き固まる結乃を前に、春人はなおも言い募った。
『自分で言うのもなんだが俺は会社役員だし、今のところ会社の業績も年々伸び続けているから、収入面での苦労はさせないはずだ。金のかかる趣味なんてものもないし、仕事や交友関係も今まで通り好きなようにすればいい。夫婦といえどプライバシーは尊重して、必要以上に干渉しないと誓う』
『は……はあ』
まるで台本でも読んでいるかのように落ちついた声音で、しかし怒涛の如く畳みかけられた結乃は、相づちを打ちながらもただただ呆気にとられてテーブル越しの男を見つめている。
……まだだ。まだ、足りない。
一度言葉を切った春人は、また続けざまに口を開いた。
『いわゆる適齢期になっても特定の相手を作らず仕事ばかりしてる俺に、周囲の人間がここ最近いっそううっとおしくその手のことを話題にするようになってきた。それが煩わしくて、いっそここらで身を固めるのもひとつの手かもしれないと考え始めた頃、母が今回の見合い話を持ってきたんだ。とはいえ突然のことで、正直まだ心の準備はできていなかった。多少抵抗はしたが、とりあえず会うだけでもと結局押し切られて、俺はここへ来ることになったんだ。……結乃もさっきは『強引に連れて来られた』と言っていたが、だからといって絶対に避けられなかったこともないだろう。それでもこの場にいるということは、きみにも何かしら結婚を考える事情があるんじゃないのか?』
『結乃が欲しい。俺と、結婚してくれないか?』
互いに不本意なものだった見合いの席で春人の懇願を聞いた結乃は、丸い目をこぼれんばかりに見開いた。
まっすぐに向けられた真摯な瞳で、このセリフが冗談なんかではないのだと嫌でもわかる。
驚き固まる結乃を前に、春人はなおも言い募った。
『自分で言うのもなんだが俺は会社役員だし、今のところ会社の業績も年々伸び続けているから、収入面での苦労はさせないはずだ。金のかかる趣味なんてものもないし、仕事や交友関係も今まで通り好きなようにすればいい。夫婦といえどプライバシーは尊重して、必要以上に干渉しないと誓う』
『は……はあ』
まるで台本でも読んでいるかのように落ちついた声音で、しかし怒涛の如く畳みかけられた結乃は、相づちを打ちながらもただただ呆気にとられてテーブル越しの男を見つめている。
……まだだ。まだ、足りない。
一度言葉を切った春人は、また続けざまに口を開いた。
『いわゆる適齢期になっても特定の相手を作らず仕事ばかりしてる俺に、周囲の人間がここ最近いっそううっとおしくその手のことを話題にするようになってきた。それが煩わしくて、いっそここらで身を固めるのもひとつの手かもしれないと考え始めた頃、母が今回の見合い話を持ってきたんだ。とはいえ突然のことで、正直まだ心の準備はできていなかった。多少抵抗はしたが、とりあえず会うだけでもと結局押し切られて、俺はここへ来ることになったんだ。……結乃もさっきは『強引に連れて来られた』と言っていたが、だからといって絶対に避けられなかったこともないだろう。それでもこの場にいるということは、きみにも何かしら結婚を考える事情があるんじゃないのか?』