転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
春人が副社長を務める【株式会社ユーアソシエイト】が、オフィス街の一等地に建つビルに本社を構えるまでに成長した礎。それはユーザーの好みに合わせた生活情報やニュースを、独自に構築したシステムに則って収集し提供する総合キュレーションアプリ【UTOPICKS!】にある。
サービス開始後から爆発的にダウンロード数を伸ばし、開発した本人たちの予想を遥かに超えて世間に浸透したこのアプリは、今やひと月の売上高110億超、5億の純利益を出すほどの企業となったユーアソシエイトの原点であり屋台骨だ。
「あ、私ちょっと気になってたんですけど……アプリの名前の【UTOPICKS!】の頭文字って、どうして“あなた”の【you】じゃなくてローマ字の【U】なんですか?」
「あれは【UTOPIA】と【TOPICS】を合わせた造語なんだ。響きは結乃の言うように、代名詞の【you】も掛けているが」
「なるほどー、上手いこと考えますねぇ」
春人の話に感心した表情でうなずく彼女は、なんだか口調も少しふわふわしている。
ふたり姉妹の長女という生い立ちも関係あるのか、今日までに会った彼女の印象は“面倒見のいいしっかり者”といった感じだ。けれども意外に……といっていいものか、酒には強くないらしい。
これ以上酔わせるのはいろいろな意味で危なそうだと、春人はこっそり近くのウェイターにミネラルウォーターをオーダーしておく。
「ふふふー。お料理もお酒も美味しくて、幸せですー」
「うん。よかった」
デセールのタルトタタンを頬張る彼女はご機嫌な様子だ。ニコニコと笑う結乃を眺めているだけで、春人の胸には不思議なあたたかさが広がる。
──もしかして自分と彼女は、過去にどこかで出会ったことがあるのだろうか。
そんなことはないとわかっていながら、けれども結乃と一緒にいるとなぜか妙な既視感や、懐かしさにも似た安心感を覚えるから不思議だ。
サービス開始後から爆発的にダウンロード数を伸ばし、開発した本人たちの予想を遥かに超えて世間に浸透したこのアプリは、今やひと月の売上高110億超、5億の純利益を出すほどの企業となったユーアソシエイトの原点であり屋台骨だ。
「あ、私ちょっと気になってたんですけど……アプリの名前の【UTOPICKS!】の頭文字って、どうして“あなた”の【you】じゃなくてローマ字の【U】なんですか?」
「あれは【UTOPIA】と【TOPICS】を合わせた造語なんだ。響きは結乃の言うように、代名詞の【you】も掛けているが」
「なるほどー、上手いこと考えますねぇ」
春人の話に感心した表情でうなずく彼女は、なんだか口調も少しふわふわしている。
ふたり姉妹の長女という生い立ちも関係あるのか、今日までに会った彼女の印象は“面倒見のいいしっかり者”といった感じだ。けれども意外に……といっていいものか、酒には強くないらしい。
これ以上酔わせるのはいろいろな意味で危なそうだと、春人はこっそり近くのウェイターにミネラルウォーターをオーダーしておく。
「ふふふー。お料理もお酒も美味しくて、幸せですー」
「うん。よかった」
デセールのタルトタタンを頬張る彼女はご機嫌な様子だ。ニコニコと笑う結乃を眺めているだけで、春人の胸には不思議なあたたかさが広がる。
──もしかして自分と彼女は、過去にどこかで出会ったことがあるのだろうか。
そんなことはないとわかっていながら、けれども結乃と一緒にいるとなぜか妙な既視感や、懐かしさにも似た安心感を覚えるから不思議だ。