転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
(もしかして、こういう行為は初めてなのか……?)


 その可能性に思い当たった瞬間、春人の中に独占欲や優越感がごちゃ混ぜになった強い感情が生まれ、気分が高揚する。

 呼応するようにそれまでも充分高ぶっていた身体が熱を上げ、急いた気持ちを落ちつかせるため細く長い息を吐き出した。

 もしも本当に、初めてなのだとしたら──本当に優しく、丁寧にコトを進めなければならない。
 結乃のことを大切にしたい。自身の欲望よりも優先すべきことを改めて確認し、春人はまた彼女の身体を解きほぐす作業に集中した。


「んん……っ」
「結乃、結乃……」

 
 頬、首筋、肩、鎖骨。あらゆる場所に春人の唇を感じながら、結乃は頑なにきつく目を閉じて羞恥心をやり過ごそうとしていた。

 すぐ耳もとで聞こえる、春人の呼吸が荒い。そうして自分を呼ぶ声の熱っぽさにも彼自身の興奮を感じて、いっそう身体が敏感になっていく。

 甘ったるい声が止まらない。目の前にいる人のこと以外、何も考えられない。

 ──ああ、もう。


「……ッ!!」


 限界まで膨張した熱が、とうとう弾けた。
 ふわりと、身体が浮き上がるような錯覚。シーツを握る手に力がこもって、頭の中が一瞬真っ白になる。


「っはあ、はあ、はあ……」


 生まれて初めて知る感覚の余韻に、放心状態でぐったりとベッドに横たわる。
 静かな室内で、自分が繰り返す荒い呼吸がやけに大きく聞こえた。
 
 汗で張りついた前髪を優しい手つきで払われ、ひたいにあやすようなキスが降ってくる。
 そこで結乃は、ようやく久しぶりにまぶたを開けた。
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