転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「はじめまして、白川結乃と申しま──」
ところが、精一杯のにこやかな表情で名前を述べるはずだった彼女の声は、そこで不自然に途切れてしまった。
目の前に立つ若い男性の顔を、唖然と見つめて固まる。
(うそ、こんなことって……)
顔を上げた先にいたのは、おそろしく見目のいい背の高い男だった。
結乃と同じか、少し上くらいの年頃だろうか。白いシャツにグレーのジャケット、黒い細身のパンツとシンプルな服装ながら、適度に鍛えているらしい引き締まった体つきと身長が180センチ以上はありそうな抜群のスタイルで、まるでファッション雑誌の中のモデルのようなスマートさがある。
髪型はさわやかな黒い短髪。ワックスで軽く遊ばせているため、堅苦しすぎない清潔感が好印象を与えた。
そしてなんといっても、目を引くのはその端整な顔立ちだ。すっと眦のつり上がった切れ長の瞳に、高い鼻梁、薄めの唇。すべてのパーツが完璧な配置で、卵型の小顔に収まっている。
今は無表情で結乃を見下ろしているが、その美しい顔面に微笑みでも浮かべれば、きっとたいていの女性はコロッと骨抜きにされてしまうに違いない。それほどの魅力が、男にはあった。
けれども今、結乃が硬直しているのは、自身のお見合い相手のイケメンっぷりに驚いたからではない。
結乃はこの男のことを知っていた。そしてそれは、現代──今生きている、時間軸でのことではなく。
「は……っハルト?!」
「ああ、……? そうだが」
思わず上げた声に、目の前の男──……結乃の前世での幼なじみであった彼は、小首をかしげながらうなずいた。
ところが、精一杯のにこやかな表情で名前を述べるはずだった彼女の声は、そこで不自然に途切れてしまった。
目の前に立つ若い男性の顔を、唖然と見つめて固まる。
(うそ、こんなことって……)
顔を上げた先にいたのは、おそろしく見目のいい背の高い男だった。
結乃と同じか、少し上くらいの年頃だろうか。白いシャツにグレーのジャケット、黒い細身のパンツとシンプルな服装ながら、適度に鍛えているらしい引き締まった体つきと身長が180センチ以上はありそうな抜群のスタイルで、まるでファッション雑誌の中のモデルのようなスマートさがある。
髪型はさわやかな黒い短髪。ワックスで軽く遊ばせているため、堅苦しすぎない清潔感が好印象を与えた。
そしてなんといっても、目を引くのはその端整な顔立ちだ。すっと眦のつり上がった切れ長の瞳に、高い鼻梁、薄めの唇。すべてのパーツが完璧な配置で、卵型の小顔に収まっている。
今は無表情で結乃を見下ろしているが、その美しい顔面に微笑みでも浮かべれば、きっとたいていの女性はコロッと骨抜きにされてしまうに違いない。それほどの魅力が、男にはあった。
けれども今、結乃が硬直しているのは、自身のお見合い相手のイケメンっぷりに驚いたからではない。
結乃はこの男のことを知っていた。そしてそれは、現代──今生きている、時間軸でのことではなく。
「は……っハルト?!」
「ああ、……? そうだが」
思わず上げた声に、目の前の男──……結乃の前世での幼なじみであった彼は、小首をかしげながらうなずいた。