転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
『よっ新婚さん! ゆうべはお楽しみだったかー? あ、入籍は土曜だからおとといの晩か! でもまあどうせゆうべもお楽しみだったんだろ~?』
社長室で春人と顔を合わせるなり、満面の笑みで朗らかに下世話な発言をした仁。
どうせゴミクズでも見るような冷めた眼差しが返ってくるのであろうことは予想したうえでのセリフだったのだが、いつまで経っても春人は黙ったままだった。
その不自然な間に仁が首をかしげたとき、いつも以上に虚無な表情をした春人がボソリと言ったのだ。
……『お楽しみどころか、欲求不満で寝不足だ』と。
そうして今、就業開始までの短い時間を使い、事情聴取をしている最中なのだが……。
「いや、待った、『心の準備』って? 籍を入れたからって、そんなにセックスに対する心構えって変わるものなのか? 今までは普通にしてたんだろ?」
ふと思いついたように、仁が言う。
対する春人は、彼にしては珍しくバツが悪そうな様子で視線を泳がせた。
まさか、と、仁が顔を引きつらせる。
「したことないのか? え? 一度も?」
「……ない」
「いやいやいや……そんな今どき、結婚するまでは清く正しくお付き合いしましょうってか? そういえば、ハルと奥方ってどのくらいの交際期間があって結婚することにしたんだ?」
その言葉に黙ったままコーヒーをすすると、春人は緩慢な動作で口を開いた。
社長室で春人と顔を合わせるなり、満面の笑みで朗らかに下世話な発言をした仁。
どうせゴミクズでも見るような冷めた眼差しが返ってくるのであろうことは予想したうえでのセリフだったのだが、いつまで経っても春人は黙ったままだった。
その不自然な間に仁が首をかしげたとき、いつも以上に虚無な表情をした春人がボソリと言ったのだ。
……『お楽しみどころか、欲求不満で寝不足だ』と。
そうして今、就業開始までの短い時間を使い、事情聴取をしている最中なのだが……。
「いや、待った、『心の準備』って? 籍を入れたからって、そんなにセックスに対する心構えって変わるものなのか? 今までは普通にしてたんだろ?」
ふと思いついたように、仁が言う。
対する春人は、彼にしては珍しくバツが悪そうな様子で視線を泳がせた。
まさか、と、仁が顔を引きつらせる。
「したことないのか? え? 一度も?」
「……ない」
「いやいやいや……そんな今どき、結婚するまでは清く正しくお付き合いしましょうってか? そういえば、ハルと奥方ってどのくらいの交際期間があって結婚することにしたんだ?」
その言葉に黙ったままコーヒーをすすると、春人は緩慢な動作で口を開いた。