転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
目当てのものを見つけたらしい春人が、ディスプレイを相手に向けながら無言でスマホを差し出す。
ワクワクとそれを受け取った仁は、表示されていた写真を視界に入れた瞬間思わず目を見開いた。
「名前は結乃だ。まあ、彼女が許可すればそのうち会わせる」
なぜか硬直しながらも、春人の言葉は届いたらしい。呆然とディスプレイを見つめたまま「……『ユノ』」と小さく繰り返した仁を、春人は不思議に思って首をかしげる。
仁に見せたのは、昨日の昼間に結乃とふたりで近所を散策した際、道端で出会ったどこかの飼い猫らしき茶トラと戯れる結乃を撮ったものだ。
彼女はかわいいかわいいと言って猫を構いつつ大量にスマホのカメラに収めていたが、春人からすればそんな猫一匹に満面の笑顔でうれしそうにはしゃぐ彼女の姿こそがかわいいと思っていた。本人には伝えていないが。
この写真の存在に、おそらく結乃は気づいていない。春人としては若干後ろめたい気持ちもありつつ、消去する気などは毛頭ないちょっぴりワケありの一枚なのだ。
そんな秘蔵の写真を前に、仁の反応はどこかおかしい。
春人が口を開きかけたところで、先に仁が顔を上げてこちらを見た。
「……ハルは、彼女と見合いのときが初対面だったんだな?」
「ああ。そうだ」
その質問に何となく引っかかりを覚えつつ、春人はうなずく。
ワクワクとそれを受け取った仁は、表示されていた写真を視界に入れた瞬間思わず目を見開いた。
「名前は結乃だ。まあ、彼女が許可すればそのうち会わせる」
なぜか硬直しながらも、春人の言葉は届いたらしい。呆然とディスプレイを見つめたまま「……『ユノ』」と小さく繰り返した仁を、春人は不思議に思って首をかしげる。
仁に見せたのは、昨日の昼間に結乃とふたりで近所を散策した際、道端で出会ったどこかの飼い猫らしき茶トラと戯れる結乃を撮ったものだ。
彼女はかわいいかわいいと言って猫を構いつつ大量にスマホのカメラに収めていたが、春人からすればそんな猫一匹に満面の笑顔でうれしそうにはしゃぐ彼女の姿こそがかわいいと思っていた。本人には伝えていないが。
この写真の存在に、おそらく結乃は気づいていない。春人としては若干後ろめたい気持ちもありつつ、消去する気などは毛頭ないちょっぴりワケありの一枚なのだ。
そんな秘蔵の写真を前に、仁の反応はどこかおかしい。
春人が口を開きかけたところで、先に仁が顔を上げてこちらを見た。
「……ハルは、彼女と見合いのときが初対面だったんだな?」
「ああ。そうだ」
その質問に何となく引っかかりを覚えつつ、春人はうなずく。