転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
しかし待たされた当の本人である結乃は、まったく気を悪くした素振りもなく喫茶店のレトロな椅子に座って笑っている。
表面上隠しているだけではないか、と正面からじっとその顔を見つめてみるが、若干照れたように目を伏せただけで、本当に怒っている様子はない。
機嫌を損ねられても文句の言えないことをしでかしたにもかかわらず、着替え等すべてを終えた春人が結乃のもとへと再び舞い戻ったときから、彼女の口角は今と同じくずっと楽しげに緩んでいた。
昼食をどうするかという話になったときも、ディナーの予約時間が早めの17時半であることを鑑みて、この近くにある喫茶店で軽く済ませてはどうかと控えめに提案した自分に「いいですね~」と笑顔であっさり肯定してくれたのだ。
(……女神か?)
我ながら、頭の沸いた感想が浮かぶ。
そこで注がれたままの視線に堪えきれなくなったらしい結乃が、顔はうつむきがちのままチラと上目遣いに抗議の眼差しを向けてきた。
「あの……本当に、怒ってませんから。むしろ、その……春人さんの道着姿とか稽古の様子が、か、かっこよくて、思う存分見られてうれしかったです……」
両手の指先でグラスをもてあそびながら、彼女はうっすら頬を赤く染めてボソボソとつぶやく。
完全にノーガードの状態から妻のかわいすぎるデレを不意打ちで食らった夫は、思わず自分の胸を片手で押さえた。
表面上隠しているだけではないか、と正面からじっとその顔を見つめてみるが、若干照れたように目を伏せただけで、本当に怒っている様子はない。
機嫌を損ねられても文句の言えないことをしでかしたにもかかわらず、着替え等すべてを終えた春人が結乃のもとへと再び舞い戻ったときから、彼女の口角は今と同じくずっと楽しげに緩んでいた。
昼食をどうするかという話になったときも、ディナーの予約時間が早めの17時半であることを鑑みて、この近くにある喫茶店で軽く済ませてはどうかと控えめに提案した自分に「いいですね~」と笑顔であっさり肯定してくれたのだ。
(……女神か?)
我ながら、頭の沸いた感想が浮かぶ。
そこで注がれたままの視線に堪えきれなくなったらしい結乃が、顔はうつむきがちのままチラと上目遣いに抗議の眼差しを向けてきた。
「あの……本当に、怒ってませんから。むしろ、その……春人さんの道着姿とか稽古の様子が、か、かっこよくて、思う存分見られてうれしかったです……」
両手の指先でグラスをもてあそびながら、彼女はうっすら頬を赤く染めてボソボソとつぶやく。
完全にノーガードの状態から妻のかわいすぎるデレを不意打ちで食らった夫は、思わず自分の胸を片手で押さえた。