転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
「春人さんオススメのたまごサンド、すごく美味しいです~」


 目を輝かせて「いただきます!」ときちんと手を合わせたのちサンドイッチにかぶりついた結乃が、ふにゃふにゃと頬を緩めながら幸せそうな声を上げた。

 つられたように、春人の口もともほころぶ。


「ああ。よかったな」


 ──この笑顔を、曇らせたくない。
 自分の出来うるすべてで、彼女を守りたい。
 自然とそんな思いがわき起こって、春人の胸を熱くさせた。


『果報者だな、おまえは。よくできたかわいらしい奥さんに逃げられないよう、しっかりやるんだぞ』


 先ほど師からかけられた言葉が、脳裏によみがえる。


(俺は、本当に果報者だ。こんなにも愛おしいと思える存在に出会えて、こうしてともに過ごすことができる)


 彼女は知らない。傍目には冷淡な人間にも見える春人が、その身の内に宿している激情を。

 もはや手放すなんてことは考えられないほど、結乃を心から愛していることを。

 ──“もう、離してくれるなよ”。

 そう自分に言ったのは、一体誰だったか。


(離さない……結乃は、俺の妻だ。誰にも渡さない。俺が、幸せにする)


 自らの執着心をはっきりと理解しながら、春人は改めて、強く誓った。
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