転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
今考えれば、なぜ自分はこうも楽観的に春人との結婚を決断したのか。子どものこととか、互いの両親のこととか、事前に話し合って意見を擦り合わせるべきところはたくさんあったはずなのに。
結局のところ、あのときの結乃には“春人さん”が“ハルト”であるその事実が大きすぎて、他の細かな部分に目を向けるまでもなく『ならいいか』という気持ちになっていたのだろう。
だけど今、結乃は前世の“ハルト”とは別の人間として、“春人さん”と向き合う努力をしている。
そしてそれは、きっともう、すっかり自分の中であたりまえのこととして定着していて──もはや結乃は、自分の夫である“黒須春人”に対してときめいたりあせったり、感情を揺さぶられてばかりいるのだ。
(春人さんと私の、子ども……)
それはつまり、当然そこに至る手順を踏むということで。
真っ昼間のショッピングモールで、しかも隣に当事者がいるというのにこんなことを考えてしまう自分に、顔を熱くさせる。
すると前を向いていたはずの春人が不意にこちらへ視線を流したため、ドキンと心臓がはねた。
それから突然肩を抱かれたかと思ったら力を込めて引き寄せられ、とっさのことに反応できずされるがままになる。
直後、会話に夢中なガタイのいい男性と触れるギリギリのところですれ違い、その危険に気づけなかった自分に驚いた。
結局のところ、あのときの結乃には“春人さん”が“ハルト”であるその事実が大きすぎて、他の細かな部分に目を向けるまでもなく『ならいいか』という気持ちになっていたのだろう。
だけど今、結乃は前世の“ハルト”とは別の人間として、“春人さん”と向き合う努力をしている。
そしてそれは、きっともう、すっかり自分の中であたりまえのこととして定着していて──もはや結乃は、自分の夫である“黒須春人”に対してときめいたりあせったり、感情を揺さぶられてばかりいるのだ。
(春人さんと私の、子ども……)
それはつまり、当然そこに至る手順を踏むということで。
真っ昼間のショッピングモールで、しかも隣に当事者がいるというのにこんなことを考えてしまう自分に、顔を熱くさせる。
すると前を向いていたはずの春人が不意にこちらへ視線を流したため、ドキンと心臓がはねた。
それから突然肩を抱かれたかと思ったら力を込めて引き寄せられ、とっさのことに反応できずされるがままになる。
直後、会話に夢中なガタイのいい男性と触れるギリギリのところですれ違い、その危険に気づけなかった自分に驚いた。