転生夫婦の新婚事情 ~前世の幼なじみが、今世で旦那さまになりました~
春人が予約を入れていたのは、30階にある鉄板焼きの店だ。
黒を基調とした和モダンのシックな店内に足を踏み入れると、期待に胸がときめいた。
日の入りまではまだ1時間ほどあるため、窓の外に見える街並みは明るい。食事をしているうちに、どんどんその装いを変えていくのだろう。
「黒須さま、本日はよろしくお願いいたします」
ふたりが案内された緩やかなコの字型のカウンターは広々としていて、ゆったりと店の雰囲気を楽しむことができた。
内側に立つシェフが恭しく挨拶すると、さっそくその手さばきが披露される。
伊勢海老。鮑。黒毛和牛。旬の野菜。
一流の食材が鉄板の上で鮮やかに調理されていく様は、味覚や嗅覚だけでなく視覚をも魅了していく。
その魅せる技術もさることながら出された料理すべてが極上で、結乃はずっと頬を緩めっぱなしだ。
「おっ……おいし~~ずっと噛んでいたい……ああでもすぐ溶けちゃう……」
絶妙な加減で焼き上げられたシャトーブリアンのステーキを咀嚼しながら、そのおいしさに結乃はもはや涙目である。
隣に座る春人はといえば、食事の味はもちろんだがそれに感動して素直な反応を見せる結乃が見ていて飽きず、満足げに顔をほころばせていた。
「──結乃」
コース料理の最後に運ばれてきた紅茶でほっこりひと息ついていると、不意に春人がそれまでとは違う声色で彼女を呼んだ。
コト、と小さな音をたてて、結乃の前に紺色のリボンがかかった白い小箱が置かれる。
黒を基調とした和モダンのシックな店内に足を踏み入れると、期待に胸がときめいた。
日の入りまではまだ1時間ほどあるため、窓の外に見える街並みは明るい。食事をしているうちに、どんどんその装いを変えていくのだろう。
「黒須さま、本日はよろしくお願いいたします」
ふたりが案内された緩やかなコの字型のカウンターは広々としていて、ゆったりと店の雰囲気を楽しむことができた。
内側に立つシェフが恭しく挨拶すると、さっそくその手さばきが披露される。
伊勢海老。鮑。黒毛和牛。旬の野菜。
一流の食材が鉄板の上で鮮やかに調理されていく様は、味覚や嗅覚だけでなく視覚をも魅了していく。
その魅せる技術もさることながら出された料理すべてが極上で、結乃はずっと頬を緩めっぱなしだ。
「おっ……おいし~~ずっと噛んでいたい……ああでもすぐ溶けちゃう……」
絶妙な加減で焼き上げられたシャトーブリアンのステーキを咀嚼しながら、そのおいしさに結乃はもはや涙目である。
隣に座る春人はといえば、食事の味はもちろんだがそれに感動して素直な反応を見せる結乃が見ていて飽きず、満足げに顔をほころばせていた。
「──結乃」
コース料理の最後に運ばれてきた紅茶でほっこりひと息ついていると、不意に春人がそれまでとは違う声色で彼女を呼んだ。
コト、と小さな音をたてて、結乃の前に紺色のリボンがかかった白い小箱が置かれる。