桜の下に立つ人
「浅井先輩。おはよう、ございます……」
自然の光が好きらしい美空は、一人のときに明かりをつけない。朝の青みがかった光の中でほんのりはにかむ彼女は、たぐいまれな容姿と相まって天使のようだった。
悠祐はそんな彼女に毎朝心を奪われている。
「……先輩?」
きょとんと首を傾げる仕草もまた可愛いのだ。
「ああ、おはよ」
悠祐は緩みそうになる口元を懸命に引き締めながら、美空のそばの席に腰を下ろした。
「作品は、進んでんの?」
冷静ぶって話題を振れば、美空はこくりと頷いた。
美空は今、コンクールに向けた作品づくりに没頭していて、朝から晩まで授業以外のほとんどの時間を美術室で過ごしている。
放課後は当たり前だが他の美術部員もいるため、美空と二人きりでゆっくりと話すには朝のこの時間しかない。悠祐が早朝学習を継続できている最たる要因だった。朝の学習の場として美術室を提案してくれた竹本には感謝せねばならない。
「なにを描くことにしたんだ?」
悠祐は身を乗り出して美空のスケッチブックをのぞき込んだ。そして「えっ」と声を漏らす。
自然の光が好きらしい美空は、一人のときに明かりをつけない。朝の青みがかった光の中でほんのりはにかむ彼女は、たぐいまれな容姿と相まって天使のようだった。
悠祐はそんな彼女に毎朝心を奪われている。
「……先輩?」
きょとんと首を傾げる仕草もまた可愛いのだ。
「ああ、おはよ」
悠祐は緩みそうになる口元を懸命に引き締めながら、美空のそばの席に腰を下ろした。
「作品は、進んでんの?」
冷静ぶって話題を振れば、美空はこくりと頷いた。
美空は今、コンクールに向けた作品づくりに没頭していて、朝から晩まで授業以外のほとんどの時間を美術室で過ごしている。
放課後は当たり前だが他の美術部員もいるため、美空と二人きりでゆっくりと話すには朝のこの時間しかない。悠祐が早朝学習を継続できている最たる要因だった。朝の学習の場として美術室を提案してくれた竹本には感謝せねばならない。
「なにを描くことにしたんだ?」
悠祐は身を乗り出して美空のスケッチブックをのぞき込んだ。そして「えっ」と声を漏らす。