その熱、受け止めて〜℃〜
「ん…、っと、何時?」
手探りでいつものベッドサイドをバシバシ叩くものの、目当てのスマホは見つからない。
しかもいつもよりベット内での動きが悪いように思ーーーー
「っ…」
動けないはずだ。
私のお腹周りに誰かの腕ががっしりと巻き付いている。
しかも左手はぎゅっと抑え込まれている。
私を完全に拘束する主はまだ夢の中のようで、ゴソゴソ動く私とは反対にピクリとも動かない。
そう、わかってる。
私の背中にピタリとくっついて離れない後ろの人物を私はちゃんと理解している。
はぁ…参ったな。
久しぶりに子供の頃の懐かしい夢を見たのもきっと、昨夜の事があったからだろうか。
私は昨夜、幼馴染み?いや、腐れ縁と呼ぶ方がしっくりくるな。
その腐れ縁のバーテンダー、薫が仕組んだハニートラップにまんまと引っ掛かってしまったのだ。