その熱、受け止めて〜℃〜
厳密に言うと、ハニートラップに私が掛かったのではない。


薫が故意に作ったトラップで彼をーーー


そう、薫が作ったいつもよりアルコール強めのカクテルをうっかり飲み干してしまった結果、寝てしまうという失態。


密かに想いを寄せていた彼を放ったらかしてというオプション付きだ。


私から誘っておいてそれはないよね。


「はぁ…」


ため息が薄暗い部屋の天井に吸い込まれていく。


日頃からお酒だけは気をつけてたんだけどなぁ。


つい今しがた夢に見た子供の頃のあの出来事。


ジュースで酔っ払うというなんとも私的には黒歴史。


さらにはあの時の蝶ネクタイが薫のお父さんだって知ったのはもう少し後のことだけど。


あの一件以来、お酒だけでなく何かにつけて私は慎重になった気がする。


にしてもこれ、一体、どういう状況なんだろう。


記憶をなんとか辿っていく。




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