【短編】コイイロ世界
―ガシャン!!
恭が支えていたはずの自転車が
壮大な音をたてて倒れた。
「…きょ―――」
「なんでそんなこと聞くの――?」
えっ……?
恭の…真剣な瞳
なんで…
「だ、だって恭モテるじゃん!」
私は必死に言葉を口にした。
「私のクラスでも、恭のこと好きな人いっぱいいるんだよ?」
つまりそうになる言葉を、慌てて早口でしゃべる。
「恭カッコイイのに、いつまでもカノジョいなくて……」
恭……
なんで無言なの…?
「恭なら、カノジョいて当たり前なカンジするのに…」
なんか…
怒ってる……?
「だから…――――」
「いい加減にしろよ……」