【短編】コイイロ世界
―ビクっ!
「…、きょ…恭――」
「これ以上、俺を怒らせるな」
あっ………
私は開いたままにしていた口を
ゆっくりと閉じた。
恭…怒ってる
感じとれたのは、そんなこと。
沈黙が続くなかピクリとも動けなかった。
先に口を開いたのは…
「好きなんだ…」
えっ……
恭の呟くように言った一言。
私は目を見開いた。
「きょ――」
「俺はずっと、ずっと前から
未月が好きだった。」
凛とした声が鼓膜に透き通るように響く。