【短編】コイイロ世界
聞きたくない
聞きたくない
聞きたくない!!
まるで心が悲鳴を上げたように叫びだす。
溢れでる涙も拭かず、家へと向かう。
恭の言葉が何度も、何度も頭の中で繰り返し聞こえる。
怖いよ……
苦しいよ……
なんで分かってくれないの……?
―バタン!
家たどり着くなり、素早くドアを閉め、鍵をかける。
力が抜けたようにその場にしゃがみこみ、玄関のドアにもたれ掛かる。
なかなか止まらない涙で、顔はボロボロ
止めようとしても、止まらない。
膝を抱えて、顔を伏せながらうずくまるように泣き続ける。
恭……恭………
私はまた、バカみたいに彼の名前を呟くだす。
―ガン!!
ビクっ!!
「未月!!」
恭の………声……?
外からドアを叩かれ、恭の声が響く。