【短編】コイイロ世界

それでも…
ドアを開けられずにいた。

恭の声…

今は聞きたくないよ……


私は両手で耳をふさぐ。


「―好きだ。」



あっ……

「―好きだ。」


――――っ!!


私はまた涙が溢れ出てしまう。



やめてよ…

これ以上歪ませないで…


「―好きだ。」



私達の関係が、崩れていく。

歯切れの悪い音をたてながら、着実に壊れていく。

形が崩れ、カケラとなる。


こんなの…私、望んでない…っ、


今あるこの状態を理解しろなんて、
私にはできないよ



いつからこんなに狂いだしたの…?

私達の変わらない日常は、どこから動きだした…?

変わりはじめは、どこから…?




……あぁ、でも



「―好きなんだ…――」




もう、戻れないんだ…………………



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