【短編】コイイロ世界
振り払われた感覚が、今でも残る。
いつも温かいはずの恭の手は、そのとき今まで感じたことのないぐらい冷たくて
それがまた悲しくなった
拒絶された悲しみが、声にならないまま涙とともに流れ落ちる。
“拒絶”が
こんなにも苦しいものだなんて知らなかった…
突き放されることが
こんなにも悲しいことだなんて知らなかった…
痛みはないのに、変な感覚が私の中で暴れだす。
恭…
恭……
恭……
きょ…―――
………………っ、
彼の名前を呼びながら
そして私はまた、崩れるように泣き続けることしかできなかった……――。
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