【短編】コイイロ世界
「―お待たせ恭!」
私が家のドアを開けば、そこには自転車に乗りながら携帯をかまう恭がいた。
「じゃあ行くか…――――って、
また朝ご飯食べてないだろ?」
へっ?
恭の自転車の後ろに乗ろうとすると
恭の指が私の鼻を指す。
グッ、グッ…
い、痛いなぁー
「ちゃんと食べないとまた倒れるよ」
「いーの!朝食べなくても死ぬわけじゃないし!」
さ!出発、出発!と、恭を急かす。
恭はため息をまたつきながら
「じゃあ、これだけ食べて?」
とポケットからラップに包んだ
小さなおにぎりを取り出した。
「?」
なんでポケットから…?
問うように恭を見れば…
「これぐらいなら食べれるだろうと思って…作って、きた…」
私から顔を逸らし、途切れ途切れに言ってくる恭。
……?
変なのー……
でも…
「ありがとうー」
嬉しいよ――