時が満ちる
「お互いのあら拾いが貴方と私の間を遠ざけるような気がするわ・・」
明るく生きたいと思った美都子は言った。
「気が付いた人が蛇口を止めれば・・水道料も電気代も少なく済むよね・・
蛇口を止めたからね・・と言われたら
私の口からは「ありがとう。止め忘れてごめんなさい。
低姿勢で感謝できるわよね。
『スイッチ消して置いたよ。』
それで済むわよね。」
留雄は素直に言った。
「はい・・解った。」
美都子はまた追い打ちをかけた。
「解ったでないでしょう。ありがようは?・・」
留雄も美都子も上からの目線でしか話せない・・
「感謝はないの。」美都子は遂感謝を求めた・・
お互いに「上からの目線」で話す・・・
「ささくれ立つような会話が私たち夫婦の会話よね。
明るい雰囲気で話したくても無理よね。」
留雄と美都子の会話の肌は滑らかでない・・・・
棘のある会話が続く・・
感謝も尊敬も解って居るが表現できない。
親しみ・馴れから家族を人間としての扱いを認識しないのかも知れない。
家族は小さな地域社会と見れば礼儀を正したくなると思う・・・
親子ではなく・・・夫婦でもなく・・・
一般社会人の共同生活と思えば・・
距離を置いて会話をすれば・・・
尊重する想いも湧くのではないだろうか。