時が満ちる
愛が冷めたわけではない。
信頼が薄れたわけではない・
必死で子育てして家事と仕事を両立することに疑問が湧いて来た。
のんびりしたいのだ・疲れ切ったのだ・
ホッとしたいのだ・・
ふっと後悔が過るようになった・・
ある日元子から手紙が届いた。
若いころに結婚の約束をした元子だった。
何故あの時別れ話が出たのだろう・・
葵が中学生になり子育ての手が要らなくなった心の隙間に・・・
元子との思い出が騒ぎ納まらない心を抱えて何日か過ぎた。
夢中で働いた家事を省いても許される時期が来た。
元子のことが心から離れない。
寝ても覚めても元子との破局を後悔した。
茜は帰って来ない・・・
若かった頃を思い出しながらひとり冷めた夕食を食べた。