時が満ちる


「なあ~若いころに好きだった女性を忘れられるかなあ~。」



「やあ~忘れないね。 ず~と胸の底に住んで居るよ。」




「そうだろう・・・・急に手紙が来たんだよ。まだ独身だって。」



「そうかあ~  そうなったら僕も考えちゃうかな。}




「そうだろう・・・別れたことを後悔して居るんだよ。」



「それはないよ。だって茜さんをさんざん口説いて結婚したんだろう。」



「そう言われると返す言葉がないけどね。



でも胸が納まらないんだよ。」




そう言って元子の手紙を見せた。



圭太君へ



突然ですが手紙を書かずには居れなくなってペンを走らせます。


あれから30年・・・・私は何度か見合いをしたり巡りあった男性と

付き合いましたが結婚したい男性には巡り合えません。

諦めて一度結婚を決めましたが圭太君が目の前に立ち塞がり

『 決断は早い・・まだ結婚はするな。』と言うのです。


書いてはいけない人・・・・話すことも許されないと知りながら


最後の相談をしたくなり思い切って手紙を認めました。


圭太君の考えを参考に人生を歩きたいと思いますので率直なご意見を

聞かせてください。


圭太君の意見なら素直に信じたいです。


是非ご意見を聞かせてください・・待って居ます。


                  元子より



と書いてあった。







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