時が満ちる
生徒の居ない教室は静か・・・
もう・・・ひとりは耐えられない。
思わず学校の裏通りに飛び出し彷徨いながら考えた。
瞼を右往左往する実の笑顔に耐えられない・・
早く・・実の姿を消そう。
拳を握りし締めた手には冷ややかな携帯があった・・・
何時しか足は霧子へのアパートに歩いて居た
夏休みのこのチャンスだ。
若菜と霧子と3人で海水浴に出かけよう・・・
海岸沿いの民宿に2泊するように宿をとった。
忘れたい心を洗うのには潮騒の聴こえる海が良い・・・・
忘れよう・・・この潮騒の音で消そう・・・・
サーフィンの若者たちの頭が沈んだり浮いたり
波間を漂う姿をじっと見詰めて思った。
忘れるために転勤をしよう・・・小さな村の学校へ行こう。
そう思った真奈美は翌年の3月小さな村に転勤した。
菫が咲きタンポポが咲く畦道を歩く通勤が楽しかった。