時が満ちる


「美味しい唐揚げが出来たよ。」



呟きながら今日も大皿一杯に唐揚げを造ったその時・・




夕方6時過ぎ・・茉莉子から



「お母さん・・お腹が痛いから家へ帰るね。」




「どうしたの悪い物でも食べたかな・・タクシーで



帰っておいで・・・」



虫が知らせたのか・・




何時もより早く料理をして良かったと思った。





様子を見ながら・・今日は日曜日だから明日病院に行こうね」



そんな話をして茉莉子は寝たが・・・




やはり明日迄待てないと言う・・



夜間診療に行って診察を受けた。




すると診察した医師が小さな声で言った。




「これは妊娠ですよ。」と・・・



茉莉子はびっくり・・・



「えっつ~私彼など居ないですよ。」



涙を流しながら訴えた。



医師の表情は変わらない・・・




「嫌‥想像妊娠と言うこともありますよ。」




平気な顔でもう一度言った。



「貴方がそう言っても想像妊娠ってあるんですよ。」



続けて医師が言った。



「確かな妊娠ですから中絶しましょうね。さあ~診察台に



上がってください。」




言われた茉莉子は診察室から逃げて来た。



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