お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
「怖い目にあったのか？」

みくるは呼吸を整えて話し始めた。

「昨日、帰りに誰かにつけられている感じがあり、急いで部屋に入って鍵を閉めたんですが、しばらくして何度もブザーが押されて、ずっと怖くて眠れませんでした、朝になっても怖くて部屋から出られなくて、連絡も出来ずすみませんでした」

「みくる、そう言えば携帯の番号交換していなかったな」

「私、携帯は持っていないんです、もったいないので」

そういえば俺も携帯はもったいないと持たなかった。

「そうか、なあ、俺のマンションに引っ越してこいよ」

みくるはビックリした表情で俺を見つめた。

「俺のマンションなら家賃や食費、水道光熱費いらないし、また朝来なくちゃいけないんだから帰らなくていいし、もうこのアパートには住めないだろう、俺もみくるをこのアパートに住まわせるのは心配だからな」

「でも、彼女さんは反対しますよ」

「彼女？俺の？」

みくるは頷いた。

「彼女はいない、俺、モテないんだよな」

「まさか」

「ほんと、ほんと、何回か見合いさせられたんだけど、毎回相手から断りの連絡あって、執事の平野も呆れてる」

みくるの表情が少し緩んだ。
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