お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
「みくるを俺の側に置いておきたい」

平野は即答した。

「それは難しいと存じます」

「なぜだ」

「みくるさんは妊婦です、雇い入れることは出来ません、またご結婚も難しいと思われます」

「なんで難しいんだ」

平野は少し考えて言葉を続けた。

「みくるさんのお腹には他の男性の子供がおります、跡取りの関係でその子供を迎え入れることは出来かねます」

「俺の子供として戸籍に入れれば何の問題もないだろ?」

平野はしばらく考えて言葉を発した。

「誄様、一般階級では通る筋も上流階級では通らない事があります、ただどうしてもと言うのであれば、一つ手はあります」

俺は食い入るように平野を見た。

「それはどんな手だ」

「誄様とみくるさんが結婚して、子供が産まれたら養子に出します、跡取りは誄様の血が繋がった子供でなくてはいけません」

「わかった」

平野はちょっと不思議そうな顔で俺に尋ねた。

「誄様、確認ですが、みくるさんは承諾しておりますか」

「何をだ」

「誄様との結婚です」

「プロポーズしたんだが断られた」

「でしょうね、難しいと思いますよ、みくるさんとの結婚は」

俺は返す言葉がなかった。

< 23 / 61 >

この作品をシェア

pagetop