お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
「俺のお袋は親父の愛人だった、親父には子供がいなくて、お袋の妊娠を知った親父はお袋との結婚を考えて、お袋にプロポーズした、しかしお袋は身分が違い過ぎると身を引いた、一人で俺を産んで育てて、苦労して亡くなった、俺は五歳から児童養護施設に入り、そこで育ったんだ」

みくるは俺をじっと見つめて話を聞いていた。

「ついこの間、執事の平野が俺の元にやってきて九条の全財産を譲りたい、九条リゾートホテルを任せたいとの親父の意向を伝えるために、迎えに来た、親父は後半年の命だそうだ」

「えっ?」

みくるは信じられないと言わんばかりの表情を見せた。

「俺は九条誄になった、だからみくると生まれも育ちも同じ境遇だし、苦労して生活してきたみくるのことも理解出来る」

俺の話に耳を傾けていたみくるが口を開いた。

「そうだったんですか、不思議なことがいっぱいあって、庶民的なお食事が好みだったり、金銭感覚も私に近くて、なんか社長と一緒にいるとほっと出来ました」

「本当に?」

「でも社長は今は九条家の御曹司で、九条リゾートホテルの社長です、ですからやはり結婚はお断りします」

俺はみくるにプロポーズを断られた。
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