お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
次の日執事の平野が迎えに来た時、みくるにプロポーズを断られた旨を話した。

「みくるにプロポーズを断られた」

「さようでございますか」

「生まれも育ちも違うと言うから、俺とみくるは同じだと話したのに」

「誄様、お話してしまわれたのですか、あれほど内密にと申し上げましたのに」

平野は呆れた表情を見せた。

「だって嘘は駄目だろ、なのに今の俺には自分は相応しくないと言うんだ」

「諦めてください、新しいハウスキーパーを手配致しますので」

「いいよ、しばらくいらない」

俺は平野にハウスキーパーの件は断った。

そう、俺には考えがあった、みくるを側に置いておく方法を。

そしてみくるにその旨を伝えた。

「えっ?新しい契約ですか」

そう、俺はみくると新しい契約を交わす事にしたのだ。

それは俺との個人契約だ。

俺のマンションの近くにみくるのアパートを借りて毎月給料を払う、仕事は俺の空腹と心を満たす事。

無論雇い主と雇われる者の関係だ。

「そんな事無理です」

「どうして、体調の良い時だけ食事作ってくれればいいから、みくるは無事に出産することだけ考えればいいよ」

「それでは契約になりません」

「そんな事ないよ、体調の良い時だけって契約にすればいいだろ、俺とみくるとの個人契約なんだから」

そしてみくるは俺のマンションの近くに引っ越した、平野には内緒で。
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