お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
今日はみくるの引越しの日。

俺は仕事を休んで引越しを手伝った。

「ここならすぐ近くだし、俺毎朝出社前に寄るから体調がいい時だけ食事頼む、それから仕事終わったらまた寄るから俺の心を満たしてほしい」

「あのう、心を満たすって何をすればいいんですか?」

「今日一日あった事喋ったり、俺に笑顔見せてくれたり、俺が落ち込んでる時は慰めてほしいな」

みくるは驚きの表情を見せた。

「それでお給料頂けるんですか?」

「ああ、そうだ」

「それでは給料泥棒になってしまいます」

俺は声高らかに笑った。

「みくるは面白い事言うんだな」

「そうでしょうか」

「なあ、みくる、食事を満たしてくれて心も満たしてくれる女性がこの世にどれ位いると思う?」

「沢山いるのではありませんか」

俺は深くため息をついた。

「いないよ、即ち結婚したいと思う相手なんてそう沢山はいないだろう?」

「そうですね」

「みくるは俺に取って結婚したい相手だ、でもふられちゃったからな」

「ふっただなんて違います」

俺はみくるの言葉に微かな希望を見いだした。

「じゃあ、結婚してくれるのか」

「それは出来ません」

俺は谷底に突き落とされた気持ちになった。
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