お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
誄さんはいつも優しい。

なぜって不思議だった。

でも誄さんがお母様の話をしてくれた時納得出来た。

誄さんは私とお母様を重ね合わせて同情していると・・・

だから私を放っておけないんだと思った。

会社との契約なら仕事だから申し訳なく思う事もなかったが、誄さんとの個人契約は申し訳ない。

食事の支度も出来ない日が多くなる。

誄さんの心を満たすことも自信が無い。

私は誄さんとの距離を置かなければいけない。

この間手を握られてキスされた時、心臓がバクバク音を立てて破裂するかと思った位ドキドキしてしまった。

誄さんと見つめあった時、涙が止めどもなく溢れた。

誄さんが大好き、どうして社長なの?どうして私は妊婦なの?

つい、言ってはいけない事を言ってしまった、

もっと早く会いたかったと・・・

でも誄さんの同情にすがる事は出来ない。

誄さんは将来がある身で、九条リゾートホテルを背負っていかなければいけない人。

私と結婚したいと言ってくれた時は嬉しかった。

しかし、私は誄さんには相応しくない。

妊婦で、一般庶民で、誄さんより十歳も年上なんだもん。





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