お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
「みくる、今は体力回復が一番だ、何も考えずにゆっくり休め、いいな」

「ありがとうございます」

俺はみくると見つめ合い、そっと肩を抱いた。

流産したばかりのみくるにすぐ次のことを考えろなんて言えない。

そんなことまで気が回る訳がないと思った。

案の定みくるに笑顔はしばらく戻らなかった。

俺はみくるに余計なことを吹き込んだ平野を許せなかった。

平野を呼び出し俺とみくるのことには口を出さないように釘を刺した。

「俺はみくる以外の女性とは結婚しない、下手な小細工はしないでくれ」

「誄様、申し訳ありませんでした、しかし、私の立場も理解して頂けると助かります」

「親父に言われたのか」

「はい、誄様には身分に相応しい相手を選ぶ様にとの旦那様の言いつけで」

俺は自分のことを棚にあげてる親父に不満を露わにした。

「よく言うよな、自分はお袋に手を出したくせに」

「でも旦那様は恵子様と結婚しようとされていました、身を引いて旦那様の前から姿を消されたのは恵子様です」

俺は黙って平野の話に耳を傾けていた。

「旦那様は誄様が身分の違う女性と恋に落ちて、恵子さまと同じ様に誄様の前から姿を消す様なことがあったらと心配されています」

多分みくるならお袋と同じことを考えるかもしれないと思い反論出来ずにいた。
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