お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
俺は親父が入院している病院へ行った。

「おお、誄、どうだ、仕事は順調か?」

「仕事は心配ない」

「そうか、じゃあ、何の様だ」

「俺はみくると結婚する」

親父は俺をじっと見て口を開いた。

「やめておけ」

「どうしてだ、俺の前から姿を消す可能性が高いからか、みくるはお袋とは違う」

「そうか?」

「どう言うことだ」

「海堂慎に会ったか」

俺はもしやと思っていた事がはっきりわかった気がした。

「海堂慎はやはりおやじの差し金か」

「誄、よく聞け、恵子はいつもわしの立場を考え行動する女だった、自分の事よりわしを優先する、自分さえ我慢すればと思う女だ、みくるさんは特に他の男の子供がお腹にいるなら尚更のこと、
お前のプロポーズは受けないだろうとわしは考えた、だから雇い主を海堂慎に頼んだのだ」

「どう言う関係だ」

「昔奴に金を貸した事がある」

「あいつならみくるさんと結婚して子供の父親になってくれると思うぞ」

「みくるは流産した」

親父は驚いた表情を見せた。

「そうなのか、それは気の毒なことだ」

「俺の元でみくるは静養する、それに伴いみくると海堂慎との契約は白紙に戻った、だからもう放って置いてくれ」

「そうか、わかったよ」

俺は親父の病室を後にした。
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