お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
それからみくるはしばらくして退院することになった。

みくるはアパートを引き払い、俺のマンションへ引っ越した。

俺とみくるの関係はと言うと、相変わらず俺はみくるの雇い主だ。

正確にはみくるは会社と契約した、なのでみくるは俺を社長と呼ぶ。

俺の気持ちはいつしかみくるを妻として迎えたいと思っている。

生活を共にしているにも関わらず、みくるとはキスもしていない。

みくるは全く俺のことなど眼中にもないと俺は思っていた。

ある日俺はみくるを買い物と称してデートに誘った。

「みくる、買い物付き合ってくれるか」

「はい、どちらに行くのですか」

「アウトレットに行きたいんだが・・・」

「社長らしいですね、高級ブティックじゃなくアウトレットなんて」

そう言ってみくるは微笑んだ。

「B級品で十分だろ?安いし・・・」

「そうですね、庶民の味方です、あっ、社長は庶民ではないですけど・・・すみません」

みくるはそう言ってぺこりと頭を下げた。

「俺だって庶民だよ、この後牛丼食べに行こうぜ」

「はい、でもこれじゃデートみたいですね」

みくるは頬を染めて恥ずかしそうに俯いた。

そんなみくるをめっちゃ可愛いと思い、自然の流れでみくるの手を取り繋いだ。

この時みくるとずっと一緒だと疑うことはなかった。

まさか俺の元から去ってしまうなんて・・・





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