お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
第八章 二人を引き裂く罠
ある日九条権蔵の元に一人の男がやって来た。

海堂慎だ。

「会長、ご相談があります」

「なんだ?」

「みくるさんの事です」

海堂は真剣な表情で権蔵に言った。

「あの件は白紙に戻してくれ、誄にバレた」

そう言って苦笑いを浮かべた。

「そうでしたか、あの、みくるさんは御子息と結婚するのですか?」

「いや、まだだろう、みくるさんは九条リゾートホテルと契約して誄の元で働いていると聞いているが・・・」

海堂は少し考えている様子だった。

「どうかしたか?」

権蔵は海堂の様子に検討がつかなかった。

「みくるさんと結婚したいんですがよろしいでしょうか」

権蔵は驚きの表情を見せた。

「みくるさんに惚れたのか?」

海堂は真剣な表情で「はい」と返事をした。

「そうか、恋愛は自由だ、みくるさんが君を選ぶと言うのであれば問題はない」

「ありがとうございます」

海堂は口角を上げてニヤリと微笑んだ。

そして病室を後にした。

権蔵はやれやれと言った表情で去っていく海堂の後ろす姿を見送った。

「誄、あの男は何を考えているか注意が必要な男だぞ、みくるさんはそんなに魅力的な女性なのか」

権蔵はポツリと呟いた。

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