お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
それから数日後私の元に海堂さんが訪ねて来た。

「お久しぶりです」

「海堂さん、社長は仕事で留守にしていますが」

「みくるさんに話があって来たので、お時間ありますか?」

私は何の話なのか検討もつかなかった。

「九条誄の出生の秘密の情報を入手しました」

私は一瞬顔が青ざめた。

社長の出生の事は内密にと平野さんから釘を刺されていたのに、海堂さんは誰から聞いたのだろうと不思議だった。

「みくるさんはご存じだったみたいですね」

「知りません」

私は表情を読み取られまいと俯いた。

「みくるさんは嘘がつけない人だ、まっ、そこに惚れたんですけど」

「えっ?」

私は驚きを隠せなかった。

「九条誄の出生の秘密は事実って事ですね」

「違います」

海堂さんは声高らかに笑った。

「事実だって顔に書いてありますよ」

私は思わず自分の顔に触れた。

「みくるさんは本当に可愛い人だ」

「からかわないで下さい」

「からかってなどいないつもりですが・・・」

「あのう、私は何も知りません、そのお話でしたらお引き取り願えますか?」

海堂さんはニヤリと口角を上げて微笑んだ。

「そんな邪険にしないで下さい、僕が事実を公表したら、九条誄はどうなりますかね」

海堂さんの言葉に背筋が凍る感じを覚えた。

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