お前は俺だけのものだ〜私はあなたに相応しくありません
俺はなぜ今更と許せない気持ちが強かった。

そんな俺に親父は信じがたい言葉を吐く。

「俺はあと半年の命だそうだ」

「えっ?」

親父の口から思いもよらぬ言葉を聞くとは誰が想像出来ただろうか。

「だから血の繋がりのあるお前に俺の全財産を譲りたい、そして九条リゾートホテルを継いでもらいたいのだ」

まさかの展開に俺は固まった。

「少し考えさせてください」

そう言って俺は九条家を後にした。

俺は次の日お袋の墓参りに出かけた。

「お袋、親父が俺の目の前に現れたよ、お袋がいつも口にしていた九条ってやつだったんだな、まっ、察しはついていたけど、あと半年でお袋の元に行くそうだ、九条リゾートホテルを継いでくれって言われた、全財産も譲るって、俺、九条誄になるから、いいよな」

俺は九条誄としての人生を選んだ。

しかし、児童養護施設で育った俺には初めてのことだらけで、上流階級の生活は予想以上の困難を極めた。

仕事は問題はなかった。
初めて本社での社長就任挨拶では役員連中をあっと言わせた。

「若いとそれだけで文句は言わせねえ」

俺は今以上の売り上げを親父に誓った。

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