一生のお願い
「は、はあ…」


こんなに強引な人だっけ?

最後に私の目を指さしそしてまぶたに触れてきた。

前お兄ちゃんにされたように。

少しして先生は離れると、腕をつかみ無理矢理進んでいく。

これ、塾長なんかに見られたら先生クビになるんじゃ…。


「じゃ、まずは定番のお化け屋敷だな!」


まず、先生が向かったのはさっきお兄ちゃんが顔面蒼白で一瞬で出てきた私のクラスのお化け屋敷。


「あ、楓!楓も入るの?」

「え、ええ成り行きで」

「さっきお兄さんとは入らなかったのに。さっきのお兄さん超面白かったよ!」

「ええ知ってるわ。あんな図体してるくせにビビりなのよ全く使えないわ」

「使えない?」

「ゴキブリ出た時とか真っ先に逃げるのよ」

「あっはは!そりゃ使えないわ」


受付のクラスメイトと軽く雑談をし、いよいよ中に入る。

作業もしたしだいたい中の構造はわかるんだけど…。


「ひっ」


たしかにお兄ちゃんが言ってた通り地面がヌルッとしていてそれでいて少し寒い。

冷房入れるなんて案あったかしら。


「結構本格的だよね」

「まあ、そこそこ力を入れましたから」


徐々に先に進むと、冷たい何かに腕を掴まれた。
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