一生のお願い
電気もつけずそのままベッドにポスンと身を投げる。

お兄ちゃんの匂いだ…。

小さい頃、雷の夜は怖くてよくここで一緒に寝てもらってたな…。

怖い番組を見た時なんかはお兄ちゃんの方から「怖くないか?」「お兄ちゃんが一緒にいてやろう」「………本当に大丈夫か…?」って涙目になりながらしつこいくらい言ってきたな。

お兄ちゃんの方が大丈夫じゃないくせに。

お互いそこそこ大きくなってからは全くなくなったけど。

疲れてるのかな。それともショックだったのかな。どっちもかな。

自分の兄が男と付き合ってる。晴人くんは平凡だし、美形×平凡だ。

腐女子としてはなかなかおいしい展開なはずなのに…。

元々BL趣味だって、お兄ちゃんと話したいから始めたもの。

せめて、お兄ちゃんの前では腐女子として喜んでるように振る舞わないと。

起き上がれる気にもなれず、私はそのまま眠りについた。
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