一生のお願い

世界で一番大事な女の子

颯 side


「…？楓？」


文化祭の翌朝、家に帰ると俺の部屋でなぜか楓が寝ていた。

昨日俺と晴人の関係が親にバレてしまい気まずくなり昨晩は晴人の家に泊めてもらったのだ。

それで家に帰ると…これ？？

ベッドの近くによる。

楓は制服のまま布団もかけずに眠っていた。


「風邪ひくぞ」


そう声をかけたが、全く起きる気配がない。
仕方ないな。

クローゼットから布団を取り出し、楓の上にそっと被せる。


「おにい、ちゃん…」

「起きたか？」

「…」


少々身震いした。

楓が今目を覚ましたら「はあ？！なんで私クソ兄貴の部屋に？！まじ最悪穢れたんですけど」とか言って殴られる未来が容易に想像出来る。恐ろしい。

楓の寝顔を覗くと、それはもう気持ちよさそうに眠っている。

懐かしいな、この感じ。

楓がまだ小さい頃はよく一緒に眠っていた。

昔やっていたように、眠ってる楓の頭を撫でる。


「大きくなったな」


いつからか楓は俺を「お兄ちゃん」ではなく「クソ兄貴」と呼ぶようになった。

思春期というやつなんだろうけど…もう少し年上への礼儀を学んで欲しいとも思う。

特に理不尽なことを言ってきたり殴ってきたりするのは勘弁願いたい。
< 40 / 60 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop