お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

「隠さないで」


優しいのに、抗えない強さを秘めた声に太刀打ちなんてできない。
全身にくまなくキスをされ、指先に乱され、否応なく解けていく体。汗ばんだ肌を重ね合わせれば、激しく揺らされた。

このままずっとこうしていたい。

そんな願いを言葉ではなく甘い吐息で伝える。一緒に上りつめ、果てはすぐそこ。

熱が一気に高まり、解き放つ場所を求める体。

――もう、ダメ。

同時に力尽きる瞬間、「好きだ」というかすれた声がわずかに耳をかすめて消えていく。それに応えようとした果歩だったが、解き放たれた快楽に飲まれて声にならない。

ただただ幸せだけを感じ、強く抱きしめられた腕の中でその余韻に浸った。


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