お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
幸せへの道しるべ
好きな人に想いが通じる。たったそれだけで日常の色が変わるから不思議だ。
晴臣と気持ちを伝え合ってから二週間、果歩はこれまでになく幸せな毎日を過ごしている。
ひとり暮らしをしていたアパートも引き払い、晴臣のマンションへ移り住んだ。一緒に夜を過ごし、同時に朝を迎える。ありきたりな日常に晴臣のような素敵な男性が隣にいるという奇跡が、未だに信じられないくらいだ。
夏江もリハビリを終えて無事に退院。『結婚はいつなの?』と顔を合わせるたびに聞かれるのは返答に困るが、元気を取り戻したのはなによりもうれしい。
昼休憩を終えてから職場へ帰ると、文代に「お客さんがお待ちよ」と声を掛けられた。
(お客様? 誰だろう。わざわざ名指しで待つようなお客さんなんていないと思うんだけど……)
首をかしげつつ「はい」と返し、デスクの上にバッグを置きパーティションで区切られた窓口へ向かう。
「大変お待たせいたし……」
待っていた客の顔を見て、言葉を途中で止めざるを得なくなる。
「よっ、果歩」