お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~

その目が果歩と幸人の間を行き来する。
果歩は大丈夫と念押しして、幸人の前に渋々座った。


「どうしてここがわかったの?」


アパートといい職場といい、別れた後の情報で幸人が知りようもないものだ。


「前も言ったけど、愛の力ってやつ?」
「ふざけないで」


極力声のトーンを落として諌める。愛に対して失礼だ。


「そんなの調べれば簡単だよ。この前、俺たちの間に割って入った男、ナナセファニチャーの社長だろう?」
「そんなことまで調べたの!?」


耳を疑う発言をされてつい大きな声になり、文代に聞こえたら大変だと慌てて口を押さえた。
果歩の反応を見た幸人が、どこか満足そうにニヤリと笑う。とても嫌な笑みだ。

どんな手を使ったのか知らないが、幸人がそこまで執着心の強い男だとは知らなかった。


「アイツと結婚するなんて嘘だろう?」
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