お見合い夫婦!?の新婚事情~極上社長はかりそめ妻を離したくない~
「もういい」
「もうわかったから!」
晴臣が止めるのと、果歩が制止するのと同時だった。あまりにも惨めすぎて見ていられない。
甘いと言われればそうかもしれないが、昔の恋人がこれ以上落ちぶれた姿を目にしたくなかった。自分まで同じところまで落ちた気になる。
幸人はハッとしたように顔を上げ、昔よくしていたように捨てられた子犬のような目をして果歩を見た。
「果歩、本当にごめん。もう二度とお前の前には現れないから」
「結婚してるなら、もっとちゃんとして。仕事だって見つかったって言ってたじゃない。奥さんを大事にしなきゃダメでしょ」
いったいぜんたい、どうしてこんな暴挙に出たのか。
幸人は唇を噛みしめながら頷き、ゆっくり立ち上がった。言葉もなく出入口のドアに向かう。
一度だけチラッと果歩を見た後、幸人はそこから肩を落として出ていった。
果歩まで力が抜けて、その場にへたり込みそうになったが、晴臣が支えながらソファに座らせてくれた。
「大丈夫?」
「はい、ありがとうございます」